絞り染めの伝統が息づく!有松の歴史ある街並みと東海道宿場町の美

愛知県 有松 街並み
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愛知県名古屋市緑区有松を歩けば、江戸時代から400年以上続く「有松・鳴海絞り」の伝統と、東海道の宿場町として栄えた商業都市の面影を色濃く感じることができます。

旧東海道沿いに建ち並ぶ商家建築群、店先を彩る色鮮やかな絞り染め製品、そして石畳の道に響く足音が織りなす景観は、まさに江戸時代の旅人が見た風景そのもの。

重要伝統的建造物群保存地区として大切に保存されている有松の街並みをご紹介します。

目次

有松とは?絞り染めと東海道が育んだ宿場町の歴史

愛知県にはいくつも素敵な街並みを残す地域があります

有松は愛知県名古屋市緑区に位置し、慶長13年(1608年)に尾張藩によって東海道の間の宿として開かれた歴史的な町です。

鳴海宿と池鯉鮒宿(現在の知立)の間に位置する有松は、旅人の休憩地として発展する一方で、独自の絞り染め技術「有松・鳴海絞り」を確立し、全国的な名声を得ました。

愛知県 有松 街並み

有松・鳴海絞りの誕生と技術革新

有松絞りの歴史は、開拓者が九州豊後の絞り染め技術を学び、これを改良して有松独特の技法を確立したことに始まります。江戸時代を通じて技術革新が続けられ、最盛期には100種類以上の絞り技法が開発されました。現在でも約20の伝統技法が継承されており、その精巧な技術は国内外から高く評価されています。

有松絞りは東海道を往来する旅人たちの人気土産となり、軽くて持ち運びやすく美しい絞り製品は全国に有松の名を広めました。尾張藩の保護 を受けて発展した絞り染め産業は、有松の商人たちに莫大な富をもたらし、現在も残る豪壮な商家建築の建設につながりました。

重要伝統的建造物群保存地区としての価値

平成28年に有松の旧東海道沿いの約7.3ヘクタールの区域が「名古屋市有松伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

この地区には江戸時代から昭和初期にかけて建設された絞り問屋、商家、町家などの歴史的建造物が現存し、絞り染めという伝統工芸と一体となった独特の産業景観を形成しています。

有松造りの商家建築が美しい!有松の街並みの見どころ

有松の街並みの最大の魅力は、商家群にあります。これらの建物は絞り染め業に特化した機能性と、防火性能を重視した構造美を兼ね備えています。

竹田家住宅 – 絞り問屋の豪壮な邸宅

有松を代表する建造物である竹田家住宅は、江戸時代に建てられた大規模な絞り問屋の邸宅で、名古屋市指定文化財・都市景観重要建築物に指定されています。竹田家は有松絞りの発展に大きく貢献した豪商の一つで、その邸宅は有松造りの特徴を色濃く残しています。

徳川14代将軍家茂(いえもち)公が寄られたと伝えられる茶室「栽松庵」が現存。座敷の浪打ガラスを通して眺める庭園は、四季折々の植栽でいつ訪れても楽しむことができます。

竹田家住宅(有松) - 名古屋市

岡家住宅と服部家住宅 – 重要文化財の商家建築

岡家住宅は有松を代表する絞り問屋の建物で、市指定有形文化財に指定されています。間口約18メートルという大規模な構造と、精巧な装飾が施された外観が特徴的で、毎週土・日曜日に建物を公開しています

服部家住宅も江戸時代後期に建てられた絞り問屋の建物で、間口45メートルの大屋敷です。絞り染め業に特化した機能的な設計が見どころです。現在は井桁屋として営業しています。

旧東海道の石畳と歴史的景観

旧東海道沿いには江戸時代の街道を再現した石畳の道が整備されており、商家建築群との調和を図りながら歴史的景観を演出しています。宿場町の雰囲気を現代に伝える重要な要素となっています。

有松の街並み散策を最大限楽しむ方法

有松の街並み散策は、名鉄名古屋本線有松駅から徒歩約5分でアクセスできる非常に便利な立地にあります。

まずは「有松・鳴海絞会館」で絞り染めの歴史や技法について学んでから散策を始めると、より深く楽しむことができます。

愛知県 有松 街並み

おすすめ散策ルートと所要時間

約2時間30分のコースで、主要な歴史的建造物と絞り染めの魅力を効率よく巡ることができます。「有松・鳴海絞会館」からスタート。絞り染め体験をはじめ、有松絞りの歴史と技法を学ぶことができます。

その後は、街歩き。土日に施設公開されている「岡家住宅」や店舗として営業している「竹田家住宅」「服部家住宅」を見学して有松造りの商家建築の素晴らしさを体感します。

商家の魅力を活かしたご飯どころやカフェがあるので、ゆっくり過ごすのもおすすめです。

絶景ポイントと撮影スポット

有松での撮影は、旧東海道の中町交差点付近が最もおすすめです。ここからは塗籠造りの商家が連なる美しい街並みを一望でき、特に朝の柔らかな光に照らされた白壁の美しさは格別です。また、「竹田家住宅」や「岡家住宅」の重厚な門構えも人気の撮影スポットです。

常夜灯が灯る夕暮れ時の街並みも格別に美しく、漆喰の白壁が温かな光に包まれる様子は幻想的な雰囲気を醸し出します。各店舗の絞り製品はそれ自体がアート作品のようで、細部の模様や色彩をクローズアップして撮影するのもおすすめです。

絞り染め体験と伝統工芸学習

有松の魅力を最大限に味わうなら、絞り染め体験は必須の活動です。「有松・鳴海絞会館」では、ハンカチやTシャツなどの小物に絞り染めを施す体験ができます。

熟練した職人の指導のもと、「括り」の技法を学びながら自分だけのオリジナル作品を作る体験は、有松の歴史と文化を肌で感じられる貴重な機会です。

街並み散策と合わせて楽しみたい有松の魅力

有松の街並み散策をより充実したものにするため、絞り染めの技術や歴史に深く触れる体験活動も楽しんでみましょう。

愛知県 有松 街並み

有松・鳴海絞会館での総合的な学習

「有松・鳴海絞会館」は、絞り染めについて総合的に学べる施設です。1階では有松絞りの400年の歴史と100種類以上の技法について詳しく学べ、江戸時代の絞り染め見本帳から現代の作家作品まで、時代を超えた発展を追うことができます。

2階は絞り製品の展示販売コーナーとなっており、伝統的な柄から現代的なデザインまで、様々な絞り製品を購入できます。

お土産と特産品情報

有松のお土産には、「有松・鳴海絞り」の製品が最もおすすめです。ハンカチやスカーフ、風呂敷などの小物から本格的な着物まで、幅広い製品が揃っています。

手染めならではの風合いと職人の技が光る逸品は、世界に一つだけの特別なお土産となります。また、絞り染めをモチーフにした和菓子や、有松の街並みを描いた絵葉書なども人気があります。

有松の街並みへのアクセス方法と観光情報

有松への訪問を計画する際の詳細な情報をご紹介します。

電車でのアクセス方法

有松へは、名鉄名古屋本線有松駅が最寄り駅となります。名鉄名古屋駅から特急で約15分、普通電車で約20分でアクセス可能です。

有松駅からは徒歩約5分で旧東海道の街並みに到着します。名古屋市内からのアクセスが非常に良く、日帰り観光にも最適です。

車でのアクセスと駐車場情報

車でのアクセスは、伊勢湾岸自動車道有松ICから約5分、または名古屋第二環状自動車道有松ICから約5分です。街並み周辺には「有松パーキング」や「有松・鳴海絞会館駐車場」などの有料駐車場があります。観光シーズンには駐車場が混雑するため、公共交通機関の利用がおすすめです。

竹田家住宅(有松) - 名古屋市

営業時間・入場料・施設情報

有松の街並み見学は基本的に無料ですが、「有松・鳴海絞会館」は入館料が必要です(大人300円、中高生100円)。開館時間は9時30分から17時までです。

絞り染め体験は随時受け付けており、料金はハンカチで1,100円程度から、Tシャツで2,200円程度となっています。体験時間は約1時間から2時間で、予約制なので、事前に予約することをおすすめします。

周辺観光スポットとの組み合わせ

有松周辺には魅力的な観光スポットが数多くあります。「桶狭間古戦場公園」は車で約10分の距離にあり、織田信長が今川義元を破った戦いの地として歴史ファンに人気です。

また、「名古屋城」や「熱田神宮」などの名古屋市内の主要観光スポットも電車で容易にアクセスでき、有松を拠点とした愛知県内の歴史・文化観光が可能です。

有松の街並みで東海道と絞り染めの伝統を体感しよう

有松の歴史ある街並みは、400年以上続く絞り染めの伝統技術と東海道の宿場町文化が息づく生きた文化遺産です。

800mに及ぶ商家が連なる美しい街並み、店先に並ぶ色鮮やかな絞り製品、石畳に響く足音、そして現在も受け継がれる職人の手技が、現代に生きる私たちに日本の伝統工芸の素晴らしさと商業文化の豊かさを教えてくれます。

東海道の宿場町の間の町として栄えた歴史と、世界に誇る絞り染め技術の発祥地としての誇りを肌で感じ、職人の技に触れる特別な体験を通じて、有松ならではの魅力を心ゆくまで堪能してください。

ぜひ一度足を運んで、伝統と現代が織りなす有松の美しい景観を存分に体感してみてください。

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