重要伝統的建造物群保存地区・重伝建とは?

  • URLをコピーしました!
重要伝統的建造物群保存地区 重伝建とは
出典:全国伝統的建造物群保存地区協議会『伝建協』

全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存を目的にうまれた「重要伝統的建造物群保存地区」(通称:重伝建)。現在(令和4年時点)では、全国100以上のエリアが認定されています。

重要伝統的建造物群保存地区・重伝建を知ることで、観光もさらに楽しめるはず。重伝建の種別やどんな地域で認定されているのかをご紹介します。

目次

重要伝統的建造物群保存地区・重伝建とは?

重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)は、昭和50年の文化財保護法の改正により、歴史的な風致を形成している伝統的な建造物群を、新しいカテゴリーの文化財として残していこうと始まった制度です。高岡市山町筋(富山)や彦根市河原町芹町地区(滋賀)など町屋・町家の残る地区をはじめ現在全国104市町村で126地区(合計面積約4,023.9ha)、合計約30,000件の伝統的建造物及び環境物件が特定され保護されています。

市町村からの申出を受けて国が厳粛に審査します。審査の基準が高いことから、この地域に足をはこべばそれぞれの特徴にあった日本の文化を体感できます。

重要伝統的建造物群保存地区の種別とは

重要伝統的建造物群保存地区 重伝建とは
出典:全国伝統的建造物群保存地区協議会『伝建協』

重要伝統的建造物群保存地区・重伝建に認定された地区は、大きく8つの異なる特徴を持っています。

町家・町屋の街並みが京都市祇園や金沢市東山ひがし地区をはじめ、江戸時代に発展した宿場町、山村集落・農村集落などの集落などにわけられます。それぞれの特徴や代表的な地域について紹介します。掲載日時点では下記のように分布しています。

武家を中心とした町並:城下町、武家町

城下町はじめとした武家の街並みです。青森県にある弘前城の城下町弘前市仲町地区が代表的です。北は青森から南は鹿児島まで全国に点在しています。

城下町は、城郭を中心に武家・町人の居住地、社寺など、複数の建物によって構成されています。武家町は、広大な敷地の中央に屋敷と庭園を配し、独特な風情を残しています。今でも緑豊かな良質の住環境として、その魅力を残しています。

茶屋の町並:茶屋町

茶屋町は観光地としてよく登場します。京都市祇園や金沢市東山ひがし地区などが代表的です。

豊かな町人文化を背景とした遊興の場が都市の随所に創出されました。金沢などでは、一階に出格子を構え、二階の建ちを高くして二階に座敷を置く茶屋町らしい町家が数多く残っています。

商家の町並:商家町、在郷町

全国に広く残る商家町、在郷町です。埼玉県の小江戸・川越や岡山の倉敷がこれにあたります。

交易の拠点になる年になってきた地域に多く、周辺各地から物資や産品が集積し、繁栄するきっかけとなりました。商家町や在郷町では、随所に商人たちのこだわりを持ってつくられた上質かつ洗練された意匠を目にすることができます。重要伝統的建造物群保存地区・重伝建として最も認定数の多い種別です。

産業と結びついた町並:養蚕町、鉱山町、製塩町、製蝋町、製磁町、漆工町、醸造町、製繊町

塩尻市(長野県)や高岡市金屋町(富山)が代表的な地域です。

地域ごとに根付いた産業を背景に発展を遂げた街が全国各地には存在しています。養蚕町、鉱山町、製塩町、製蝋町など、産業を支えるために、またその産業を拡大するために、職人や商人が集いました。現在でも各地の重要伝統的建造物群保存地区・重伝建では、独自発展を遂げた産業との街との結びつきが残されています。

宿場の町並:宿場町、構中宿

南木曽町妻籠宿(長野)をはじめとした街道沿いに造られた宿場町です。

江戸以降街道沿いに数多くの宿場が設けられました。中山道をはじめとした五街道沿いの宿場の中心には宿泊施設、そして、これに続く街道沿いには多くの町家が建ち並んだため、今もなおその街並みを感じることができます。現在でも魅力あふれる歴史環境を求め海外からも多くの観光客が訪れるています。

社寺を中心とした町並: 門前町、寺内町、里坊群、社家町、寺町

京都市産寧坂に代表さる社寺を中心した街並みも重伝建の1つです。

長い歴史の中で人々の信仰を集めてきた社寺は、同時にこれらの境内や門前に町を形成しました。全国各地の自社の参道をはじめ、この様子を目にすることができます。山上に、会場に、社寺の地形によって、その町並みもことなります。

港と結びついた町並:港町

佐渡市宿根木(新潟県)や長崎市東山手(長崎県)に代表される港町にも昔ながらの街並みが残っています。

島国日本では、全国的な海上交易網の成立により、個性豊かな町並が沿岸部各地に成立しました。また、幕末に開かれた居留地と開港場は、近代に入り外洋を介して世界と結びついた貿易の拠点として繁栄し、洋館の建ち並ぶ独特の町並によって多くの人を魅了してくれます。

集落: 山村集落、漁村集落、農村集落、島の農村集落、村落、船主集落

合掌造民家で有名な白川郷(白川村荻町)などが集落で重伝建に登録された代表的なエリアです。

国内には周囲の自然環境と一体をなした豊かな集落が数多く存在します。これらの集落も重要伝統的建造物群保存地区・重伝建の対象です。農業や水産業など生活が強く結びつきを持つ民家が発達し、集落ならではの魅力を伝えてくれます。

全国の重要伝統的建造物群保存地区・重伝建を紹介

重要伝統的建造物群保存地区 重伝建とは
出典:全国伝統的建造物群保存地区協議会『伝建協』

重伝建は北は北海道、南は沖縄まで全国で目にすることができます。

全国伝統的建造物群保存地区協議会『伝建協』が提供する下記の地図から全国の重要伝統的建造物群保存地区を見つけることができます。ぜひ参考にしてみてください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次