黒石と並んで重要伝統的建造物群保存地区に指定されている弘前。青森県弘前市の観光では、津軽藩10万石の城下町として400年以上の歴史を刻んできた武家屋敷群と、明治・大正時代の洋風建築が調和した独特の街並み観光を楽しむことができます。
弘前城を中心として放射状に広がる城下町の町割り、仲町地区に残る武家屋敷の佇まい、そして青森りんごで栄えた商家建築が織りなす観光スポットは、津軽の歴史と文化を物語る貴重な文化遺産です。重要伝統的建造物群保存地区として大切に保存されている仲町地区をはじめ、弘前の街並み観光は四季を通じて異なる表情を見せ、特に桜の季節や雪化粧した冬の風景は、観光客に深い感動を与え続けています。
津軽の小京都とも称される弘前観光で、武家文化と商人文化が融合した独特の北国の街並みを体感できます。
弘前観光とは?津軽藩の城下町として栄えた歴史都市の魅力
弘前市は青森県西部の津軽地方に位置し、慶長16年(1611年)に津軽藩2代藩主津軽信枚によって弘前城が築城されて以来、津軽藩10万石の城下町として発展してきた歴史観光都市です。
江戸時代を通じて津軽地方の政治・経済・文化の中心地として栄え、明治時代以降は青森りんごの産地として全国的に知られる観光地となりました。

津軽藩の成立と弘前城下町観光の見どころ
津軽藩の祖である津軽為信は、戦国時代に津軽地方を統一し、豊臣秀吉から津軽の領有を認められました。その子信枚は、当初の居城であった堀越城から新たに弘前城を築城し、城下町の建設を開始しました。弘前城は津軽平野を見渡す丘陵地に築かれ、城を中心として武家屋敷、町人町、寺町を配置した計画的な城下町が形成され、現在の観光の基盤となっています。
城下町の町割りは、弘前城を中心として放射状に道路が延び、身分制に基づいて居住区域が明確に区分されていました。この歴史的な町割りは現在も観光ルートとして活用されており、上級武士は城に近い場所に、中級・下級武士は中間地域に、町人や職人は外郭部に住居を構えるという、典型的な城下町の構造を観光しながら学ぶことができます。
津軽藩の文化政策と観光資源としての価値
津軽藩は江戸時代を通じて文化政策に力を入れ、特に4代藩主津軽信政の時代には藩校「稽古館」を設立し、学問の振興を図りました。また、津軽塗や津軽三味線などの伝統工芸・芸能も藩の保護のもとで発展し、独特の津軽文化を育みました。これらの文化遺産は現在も重要な観光資源として活用されています。
明治時代に入ると、弘前は青森県の県庁所在地となり(後に青森市に移転)、旧制弘前高等学校や弘前大学の前身である官立弘前医学専門学校などが設置され、北東北の学都としての地位を確立しました。これらの教育機関の建物も現在は重要な観光スポットとなっています。
重要伝統的建造物群保存地区としての観光価値
昭和53年(1978年)に弘前市仲町地区が「弘前市仲町伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
約10.6ヘクタールの区域内には、江戸時代から明治時代にかけて建設された武家屋敷、長屋門、土蔵など約40棟の歴史的建造物が現存し、津軽藩の武家社会の面影を現代に伝える貴重な観光資源となっています。
津軽の武家屋敷観光が美しい!弘前の街並み観光の見どころ
弘前の街並み観光の最大の魅力は、仲町地区を中心とした武家屋敷群と、明治・大正時代に建設された洋風建築が調和した独特の観光景観にあります。津軽の厳しい気候に適応した建築様式と、北国ならではの美しい四季の変化が織りなす街並み観光は格別です。
仲町地区の武家屋敷群観光
弘前市仲町地区は、津軽藩の中級武士が居住していた地域で、現在も江戸時代の武家屋敷の面影を色濃く残す人気の観光エリアです。この地区の武家屋敷は「津軽地方の武家屋敷」と呼ばれる独特の建築様式で建てられており、雪国の気候に適応した構造的特徴を観光しながら学ぶことができます。
代表的な観光スポットである「旧伊東家住宅」は、江戸時代後期に建てられた中級武士の住宅で、茅葺き屋根と板塀に囲まれた典型的な津軽の武家屋敷です。内部では、武士の生活様式や津軽地方の文化について詳しく学ぶことができ、観光客に人気の体験型観光施設となっています。また、「旧岩田家住宅」や「旧梅田家住宅」なども観光見学可能で、それぞれ異なる規模と格式を持つ武家屋敷の特徴を比較しながら観光できます。

石場家住宅 – 津軽の豪商邸宅観光
石場家住宅は江戸時代中期に建てられた商家建築で、国の重要文化財に指定されている重要な観光スポットです。石場家は津軽藩の御用商人として酒造業や質屋業を営み、藩の財政にも深く関わった豪商でした。建物は間口が広く奥行きが深い大規模な構造で、商家としての機能と住宅としての格式を兼ね備えた貴重な観光資源です。
内部観光では、商家特有の「みせの間」や格式の高い座敷、美しい庭園などを見学でき、津軽の商人文化について詳しく知ることができます。また、酒造業に使用された道具類や商業帳簿なども展示されており、江戸時代の商業活動の実態を学べる教育的観光施設としても価値があります。
弘前城観光と城郭建築
弘前城は現存12天守の一つとして知られ、津軽地方唯一の現存天守として貴重な観光価値を持っています。天守は三層三階の小規模な建物ですが、津軽の厳しい気候に耐えて400年以上の歳月を経た歴史的価値は計り知れない観光資源です。現在は石垣修理のため天守が曳屋により移動されており、この珍しい光景も観光の見どころの一つとなっています。
城内観光では天守のほか、現存する櫓や城門なども多数残されており、江戸時代の城郭建築の技術を間近で観察できます。特に「南内門」や「東内門」などの城門は、津軽地方の城郭建築の特徴を良く示す重要な観光スポットです。
明治・大正時代の洋風建築群観光
弘前には明治・大正時代に建設された洋風建築も数多く残されており、これらが武家屋敷群と調和した独特の街並み観光を形成しています。「旧弘前市立図書館」は明治39年(1906年)に建設された木造の洋風建築で、八角形の双塔が特徴的な美しい建物として観光客に人気です。
「青森銀行記念館」(旧第五十九銀行本店本館)は明治37年(1904年)に建設されたルネサンス様式の石造建築で、弘前の近代建築観光を代表する建物として知られています。また、「旧東奥義塾外人教師館」は明治初期に建設された日本最古級の宣教師館として、建築史観光の面でも重要な価値を持っています。
禅林街の寺院群観光
弘前城の南西部に位置する禅林街には、津軽藩ゆかりの寺院が33ヶ寺集中して建立されており、独特の宗教的観光景観を形成しています。これらの寺院は津軽藩の宗教政策により計画的に配置されたもので、曹洞宗の寺院を中心として、それぞれが美しい境内と歴史的価値の高い建造物を有する観光スポットです。
特に「長勝寺」は津軽家の菩提寺として格式が高く、三門や本堂などの建造物は国の重要文化財に指定されている重要な観光地です。禅林街観光では、静寂な雰囲気の中で津軽藩の宗教文化に触れることができます。
四季を通じた街並み観光の美しさ
弘前の街並み観光は四季を通じて劇的に表情を変える美しさで知られています。春には弘前公園の桜が日本一と称される美しさで咲き誇り、武家屋敷の板塀と桜のコントラストが絶景を作り出す最高の観光シーズンとなります。夏には緑豊かな街路樹が涼やかな陰を提供し、秋には紅葉が瓦屋根と美しい調和を見せる観光の見どころとなります。
特に冬の雪景色観光は格別で、雪化粧した武家屋敷群や洋風建築群が織りなす景観は、まさに津軽の冬の風物詩となっています。雪国ならではの静寂な美しさは、他の地域では味わえない特別な観光魅力を持っています。

弘前の街並み観光を最大限楽しむ方法
弘前の街並み観光は、JR弘前駅または弘南鉄道中央弘前駅からバスで約15分の「市役所前」バス停下車が便利です。まずは「弘前市立観光館」で市内の観光情報を収集し、効率的な観光ルートを計画することをおすすめします。
おすすめ観光ルートと所要時間
約4時間の観光コースで、弘前の主要な歴史的建造物と文化施設を効率よく巡る観光ができます。「弘前城」から観光をスタートし、津軽藩の歴史と城郭建築を学びます。その後、仲町地区に移動して「旧伊東家住宅」などの武家屋敷群を観光見学し、津軽の武家文化に触れます。
次に「石場家住宅」で津軽の商人文化について学ぶ観光体験をし、その後洋風建築群を巡って「旧弘前市立図書館」や「青森銀行記念館」を観光見学します。最後に「禅林街」を散策して津軽の宗教文化に触れる観光を楽しみ、「長勝寺」を参拝して観光を終了するルートがおすすめです。
絶景ポイントと観光撮影スポット
弘前観光での撮影は、「弘前城天守」と岩木山を背景にした構図が最もおすすめの観光写真スポットです。特に桜の季節には、満開の桜と天守、岩木山が一体となった絶景を撮影できる人気の観光フォトスポットとなります。また、仲町地区の「旧伊東家住宅」周辺では、板塀と茅葺き屋根が織りなす武家屋敷の風情ある観光景観を楽しめます。
洋風建築群では、「旧弘前市立図書館」の八角形の双塔が特に美しく、青空を背景にした撮影がおすすめの観光写真スポットです。冬季には雪化粧した建物群が幻想的な美しさを演出し、雪国ならではの特別な観光写真を撮影できます。
津軽文化体験観光と伝統工芸
弘前観光の魅力を最大限に味わうなら、津軽の伝統文化体験観光は必須の活動です。「津軽藩ねぷた村」では、津軽ねぷたの制作体験や津軽三味線の演奏体験ができ、津軽の祭り文化を肌で感じることができる人気の体験型観光施設です。また、「津軽塗」の工房見学や体験も可能で、400年以上続く伝統工芸の技術を学べる文化観光体験となります。
「弘前こぎん研究所」では、津軽地方の伝統的な刺繍技法である「こぎん刺し」の体験ができ、美しい幾何学模様の刺繍技術を習得できる工芸観光体験です。これらの体験観光を通じて、津軽の豊かな文化的遺産に触れることができるでしょう。

最適な観光時間と季節
弘前の街並み観光を最も美しく楽しめるのは、春の桜の季節(4月下旬から5月上旬)です。「弘前さくらまつり」の期間中は特に美しく、武家屋敷と桜の調和した観光景観は格別です。秋の紅葉の季節(10月中旬から下旬)も美しい観光シーズンで、冬の雪景色(12月から3月)は津軽ならではの特別な観光魅力があります。
街並み観光と合わせて楽しみたい弘前の観光魅力
弘前の街並み観光をより充実したものにするため、津軽の歴史や文化に深く触れる体験観光活動も楽しんでみましょう。
津軽藩の歴史と武家文化の観光学習
「弘前城情報館」では、津軽藩400年の歴史と弘前城の変遷について詳しく学ぶことができる教育観光施設です。津軽為信の津軽統一から明治維新まで、津軽藩の政治・経済・文化の発展を時系列で理解できる展示内容となっており、観光の理解を深める重要な施設です。また、武家の生活様式や津軽地方独特の文化についても詳しく解説されています。
青森りんごと農業文化観光
弘前は青森りんごの主要産地として知られ、りんご栽培の歴史と文化も街の重要な観光要素です。「弘前市りんご公園」では、りんごの品種や栽培技術について学べ、収穫体験も楽しめる農業観光施設です。また、りんごを使った加工品や郷土料理も豊富で、津軽の食文化を体験できる観光グルメとして人気があります。

弘前名物グルメ観光と郷土料理
弘前のグルメ観光といえば、まず「津軽そば」が挙げられます。「そば処 三忠食堂」では、津軽地方独特の太めの蕎麦を味わえる地元グルメ観光の代表です。また、「いがめんち」は津軽地方の郷土料理で、イカと野菜を混ぜ合わせて揚げた家庭料理として親しまれている観光グルメです。
青森りんごを使った「りんごパイ」や「りんごソフトクリーム」も弘前の名物観光グルメで、「ラグノオ」などの洋菓子店では本格的なりんごスイーツを楽しめます。また、津軽地方の地酒「田酒」や「豊盃」なども、弘前らしいお土産観光として人気があります。
観光土産と特産品情報
弘前の観光土産には、津軽の伝統工芸品がおすすめです。「津軽塗」は400年以上の歴史を持つ漆器で、美しい装飾と実用性を兼ね備えた逸品として観光客に人気があります。「こぎん刺し」の製品も人気の観光土産で、伝統的な幾何学模様が美しい小物類が揃っています。
青森りんごを使った加工品も豊富な観光土産で、「りんごジュース」や「りんごジャム」、「りんご酢」などが特産品として知られています。また、津軽地方の郷土菓子「津軽せんべい」や「りんごかすてら」なども、弘前らしい観光土産として喜ばれます。
弘前の街並み観光へのアクセス方法と観光情報
弘前への観光を計画する際の詳細な情報をご紹介します。
電車での観光アクセス方法
弘前観光へは、JR奥羽本線弘前駅が最寄り駅となります。東京駅から東北新幹線で新青森駅まで約3時間20分、新青森駅から奥羽本線で弘前駅まで約30分で観光地にアクセス可能です。弘前駅からは弘南バスで「市役所前」まで約15分で、主要な観光エリアに到着します。
車での観光アクセスと駐車場情報
車での観光アクセスは、東北自動車道大鰐弘前ICから約20分です。弘前城周辺には「弘前市立観光館駐車場」や「弘前城北の郭駐車場」などの有料駐車場があります。桜まつりの期間中は特に混雑するため、公共交通機関での観光がおすすめです。
営業時間・入場料・観光施設情報
弘前城本丸・北の郭は有料観光区域で、大人320円、子供100円の入園料が必要です。開園時間は9時から17時まで(桜まつり期間中は7時から21時)です。各武家屋敷の観光見学料は施設によって異なりますが、一般的には大人100円から300円程度となっています。
津軽藩ねぷた村は大人550円、中高生350円、小学生220円で、開館時間は9時から17時の観光施設です。
周辺観光スポットとの組み合わせ
弘前周辺には魅力的な観光スポットが数多くあります。「岩木山神社」は車で約30分の距離にあり、津軽富士と呼ばれる岩木山の麓に鎮座する格式高い神社として人気の観光地です。また、「白神山地」は車で約1時間で、世界自然遺産に登録された原生林を体験できる自然観光スポットです。
「十二湖」や「不老ふ死温泉」などの自然観光スポットも車で1時間程度の距離にあり、弘前を拠点とした津軽地方の自然・文化観光が可能です。
弘前の街並み観光で津軽の武家文化と北国の風情を体感しよう
弘前の歴史ある街並み観光は、単なる観光地ではなく、津軽藩400年の歴史と津軽地方独特の文化が息づく生きた博物館です。
仲町地区の武家屋敷群が語る武士の生活、石場家住宅に残る商人文化の面影、明治・大正時代の洋風建築が示す近代化の歩み、そして四季を通じて変化する北国ならではの美しい観光景観が、現代に生きる私たちに日本の地方都市の豊かな歴史と文化を教えてくれます。
津軽の小京都と称される弘前観光で、雪国の厳しい自然と向き合いながら育まれた独特の文化と美意識を肌で感じ、津軽三味線の音色や津軽塗の美しさ、そして青森りんごの恵みとともに、北国の風情豊かな街並み観光を心ゆくまで堪能してください。
ぜひ一度足を運んで、津軽の歴史と文化が織りなす弘前観光の魅力を存分に体感してみてください