京都の東山を世界一の観光地に!/ 西澤 徹生さん 株式会社ニシザワステイ 代表(前編)

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京都の東山で熱いチャレンジをする株式会社ニシザワステイ

世のため、人のためで、おもしろく。そんな想いを持って活動する代表の西澤 徹生さん。前編ではニシザワステイの想いとその活動について、後編では京町家を活用した事業の可能性や、町家を活用する上で意識しておきたいことについて聞いてきました。

目次

「いいことをやってるけど、おもろいことしかやらない」そんな会社、ニシザワステイ。

Q:京都の東山区で数々のチャレンジをおこなっている、ニシザワステイの活動について教えてください。

地元住民も旅行者も喜ぶ持続可能な観光を実現することで、京都を世界一のデスティネーションにする。そして、その場所に地域の誇りとなる世界一のホテルをみんなでつくりたいと考えています。

「いいことをやってるけど、おもろいことしかやらない」そんな会社です。

東山で「持続可能な観光」を目指す中で、観光業や、観光のための環境を作っていくために、優先順位の高いものからチャレンジしています。そのための事業として、京町家の一棟貸しの宿『KYOMACHIYA-SUITE RIKYU』をはじめ、観光案内BAR・コワーキングスペースなどの複合施設『SIGHTS KYOTO』の運営、観光・旅行事業、不動産事業をおこなっています。

儲かるより、大切にしたかった想いと、大好きな地元。そしてうまれた『SIGHTS KYOTO』

Q:宿泊事業から複合施設への展開は、ターゲットが異なりますが、なぜ舵を切ろうと考えたのでしょうか?

もともと私自身がホテルの運営に興味があったため、ここを起点にホテル事業を拡大する選択肢がありました。いくつかの企業からご相談いただき運営の代行・オペレーター事業というのも考えましたが、ニシザワステイとして、お客様と対峙するのであれば、ただの「宿泊するスペース」ではなく、届けたい想いがありました。そのためには、クオリティの担保が必要ですが、当時はわざわざお金をかけて改修してまで参画したいと言ってくれる企業が多くありませんでした。それでは拡大したとしても、私たちの想いと乖離した活動になってしまう。さらに、街に簡易で運営される一棟貸しのホテルが増え、地元の人からもネガティブな声が聞かれ始めていました。

想いを蔑ろにすれば売り上げは上げられますが、自分がやる、やろうとしている事業が、人にバッシングされる事業は良くない。やっぱり地域にとって持続可能じゃないことを優先したいとは思いませんでした。そこで、運営委託やホテル事業の拡大については一度お断りしました。

その頃、たまたま京都大学に観光MBAができるという話があり、そこに行くことに。その学びの中から、自分の想いが『持続可能な観光』にあることを再認識し、そのために何ができるのかを検討しました。

もちろん持続可能な観光を実現するためには、いろんな手段があると思います。その中で、地元の人と旅行者をまず交流させることの必要性を感じ、ハブになる機能を作ろうと考えました。それが『SIGHTS KYOTO』です。

まずは拠点。結果として、バーやコワーキング、観光案内をおこなっていますが、あくまでこれらはコミュニケーションをとるための手段だと考えています。

もちろん、宿泊業についての想いは、今も強く持っています。ただし、想いの実現のためには順序があるので、ここはタイミングをみつつ、手段としての宿泊業をする意義が明確になったタイミングでチャレンジしていく予定です。

地元の住民を巻き込んで、東山の魅力を世界一に

Q:『持続可能な観光』における観光事業の重要性は高いと思います。今後どんな取り組みを考えていますか?

実現したいことの手段として、旅行業でしかできないことがあると考えています。

私は、元々旅行会社にいたので旅行業が本業です。旅行を生業にしてきた人間から見て、京都の旅行はまだまだ弱いなと思いました。宿泊施設は増えてきているものの、アクティビティの幅が少ない。茶道体験や、着物体験がメイン。これが悪いのではなくて、現地を巻き込んでできることがあるんじゃないかなと思っています。

にもかかわらず、オーバーツーリズムの影響で、旅行者に難色を示す京都の方がいます。これは悲しかった。そこはやっぱり変えないといけない、旅行を好ましいものに戻していかないといけないと思っています。

オーバーツーリズムの課題解決は簡単ではありません。旅行者・地元の人、どちらの心を動かすのも難しいと思っています。新しいことをやり続けることが大事で、それによって熱い人を巻き込み、その熱量に共感してくれる人が増える。だから時間はかかるとは思うんですけど諦めたらあかんなと思うんですね。諦めなかったらできると思うし。

このエリアはポテンシャルがすごい高い。観光資源であったり、美食とか、文化とか、総合的に見て、世界トップ圏に入ると考えています。

でも、地元のシビックプライドが失われてると感じています。地元の人が地元の誇りを持ってる街なのは大前提。旅行者を暖かく歓迎できることが、商売人だけじゃなくて、地元に住んでる人も含めてできる。かつ、それだけではなく、外に対して地元の人が発信していくようになれば世界一の街だと、自信を持って、胸張って言えると考えています。

そのためにも、SIGHTSでしか提案できない観光にチャレンジしていきます。

自治体と連携して広がる地元とのつながり

Q:京都の中でも東山区を軸に住まいと人をつなげていくと伺いましたが、どのような活動をおこなうのでしょうか?

東山区の観光におけるポテンシャルは非常に高い。ただ、生活圏として考えると、課題も多い地域です。人口減少が京都で一番進み、住んでいる人が少ない。空き家率も一番高い。そんな街です。

元々20年前に4万5000人いた人口が、今3万5000人に減ってる。少子高齢化率も一番高くて、子供は少ないし、高齢者が多い。去年の出生数が区で100人だけ。区内に11あった小学校が今は2校しかありません。観光客が多く、華やかなイメージを持たれやすい東山区のイメージとは乖離してますよね。

自分の子供が小学生ですが、一昔前の「友達100人できるかな」が、京都”市”なのにできなくなっている。それは課題だなと考えました。元々課題を感じていましたが、より自分ごとになったんですよね。

データでは残念な状態ですが、実際に住んでいる人間としては、本当に暮らしやすい魅力あふれる街です。自信を持って勧められます。

ただ、無理に移住政策として活動することは予定していません。たとえば、SIGHTSに関わってくれた方が、京都に住みたいなって思った時に、その想いと同じ温度感でサポートできればと考えています。

不動産会社も売上が必要なので、一人一人の想いに寄り添ってサポートするのが難しい。その結果、せっかく想いを持ってくれているのに、その想いを枯れさせてしまうこともあります。だから京都の魅力を感じてくれる入口だけでなく、京都に移住する(出口)まで一緒にいるために、我々も不動産の免許を取得しています。

今はニシザワステイだけで活動するのではなく、東山区役所と一緒にお試し居住のプロジェクトを進めています。

後編では京町家を活用した事業の可能性や、町家を活用する上で意識しておきたいことについて聞きました。

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