オープンナガヤ大阪をきっかけに、長屋の魅力を後世に継承を。/ 橋本健太郎さん オープンナガヤ大阪運営事務局 事務局長

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「大阪長屋の魅力を伝え、次代に残していきたい」。そんな想いのもと毎年開催されている、オープンナガヤ大阪。今年は2022年11月12日(土)・13日(日)で開催されます。

コロナ前には1万人近い来場者を集めるほど大人気のイベントで、今年で12年目の開催。withコロナの今に合わせた、新しいオープンナガヤ大阪について、事務局長の橋本健太郎さんにその想いを聞いてみました。

目次

オープンナガヤ大阪は、大阪長屋の魅力を発信するプラットフォーム

長屋アーカイブ

まずはオープンナガヤ大阪について教えてください。

オープンナガヤ大阪は、2011年から開始した活動です。減りゆく長屋を残すために、長屋の魅力を知ってもらうなど、長屋の魅力を後世に継承するとことを目的としています。

毎年11月に開催するイベントを中心に、大阪長屋についての研究や、これまでの情報を保存し利活用できる環境づくりをおこなっています。

オープンナガヤの運営は基本的に大阪市立大学(大阪公立大学)の学生のみで運営されているため、私のように毎年事務局長が選任され、学生が長屋に価値を見出す建設関係者や居住者・利用者などの「長屋人」の皆さんを巻き込みながら、長屋の魅力を伝えるべく活動しています。

毎年秋に開催するイベントのイメージが強いですが、どのような目的で活動しているのでしょうか

「長屋の魅力を後世に継承する」を理念に、長屋アーカイブ、大阪市立大学モデル、長屋コミュニティの構築。この3点を意識した活動をしています。たとえば、長屋アーカイブであれば、これまで私たちの大学が研究してきた情報などをもとに、長屋の歴史・文化的価値を学術提示することで、後世に受け継ぐ活動を進めています。

毎年開催しているイベント「オープンナガヤ大阪」では、このうち、大阪市立大学モデルの認知・理解促進、長屋コミュニティの構築を目的として活動しています。イベントでは特に、長屋に関わる住人、所有者、研究者、実践者、学生をつなげるプラットフォームづくりを意識して活動しています。

オープンナガヤ大阪

大阪市立大学モデルとは、どのようなものですか?

大阪市立大学モデルとは、長屋保全活用の研究の一環として大阪長屋の改修に取り組み構築してきた手法で、暮らす場所として長屋を再生すること、伝統を尊重すること、素材を吟味すること、この3つをテーマとしています。

研究だけでなく、市大モデルを活用して、実際に長屋の保全・再生に取り組んできました。2008 年に竣工した豊崎長屋・主屋を皮切りに、この 10 年間で 20 軒を越える長 屋や町家の改修工事をおこなっています。

きっけは学生の発表の場。8,000人以上が参加するイベントに

大阪長屋

学内だけの共有ではなく、どのようなきっかけで、地域を巻き込んだ活動に変化したのでしょうか。

大阪市立大学では独自で、長屋がなくなっている現状に対して、その再生を促進する大阪市大モデルの構築・実践をおこなってきました。大阪市北区にある豊崎長屋をはじめ、魅力的な長屋を次代に引き継ぐことに成功してきましたが、残すための活動スピードよりも長屋の減少スピードが速く、追いついていない現状がありました。

そこで学内に限らず、長屋に価値を見出す建設関係者や居住者・利用者などの「長屋人」と協力することで、大阪長屋の減少速度に対抗したいと考えたのがきっかけだと聞いています。

学外の長屋人の皆さんとこの課題に取り組むことで、影響の範囲やスピードは以前に比べ変化してきていると思います。

オープンナガヤ大阪

過去には8,000人以上が参加したようですね。これまでにどのような取り組みをしてきましたか?

もともとは大阪市立大学大学院生活科学研究科、生活科学部居住環境学科による大阪長屋改修成果を発表するアートイベントが発端です。第一回は2会場で開催。長屋保全の専門家の解説を受けるバスツアーを実施し、31名の長屋好きの方に参加いただきました。

の時々の事務局長を中心に、オープンハウス形式を主として企画をかえながら開催しています。コロナの影響があり、2020年、2021年は、感染状況などを考慮し、オンラインで開催しました。実際の長屋に触れていただく機会はなくなってしまいまいしたが、遠方で普段長屋に触れることが難しい方に参加いただけたのは、オンラインならではのメリットでした。

ガイドと一緒普段と違った大阪を見よう!オープンナガヤ大阪2022はツアー形式で

オープンナガヤ大阪2022

まだまだコロナの影響もあり、さまざまな団体がイベントの開催に悪戦苦闘されています。今回のオープンナガヤ大阪2022について教えてください。

過去2年間はオンラインのみでの実施となりましたが、今年のオープンナガヤ大阪は、3年ぶりに対面で開催できることになりました。感染対策など、最大限考慮した上で開催を予定しています。

現地では、長屋人や学生による案内のもと、いくつかの長屋を巡る長屋ツアーや、長屋の路地を照らすワークショップなど新たな企画を考え、皆様のご参加をお待ちしています。また、今回の開催では、大阪に来られた方だけでなく、全国でも長屋好きに参加いただけるオンラインアーカイブも用意します。

大阪内の長屋をめぐるツアーが11も!とても楽しみな内容ですがどんなツアーがあるのでしょうか?

大阪のキタ・ミナミに点在する長屋エリアの魅力を堪能できるツアーです。長屋ガイドによる案内のもと、各エリアごとにいくつかの長屋と、その周辺の町並みを見て回ることができるます。その地域をよく知る長屋人や、私たちオープンナガヤ大阪のスタッフである長屋に精通した学生がご案内します。

ツアーでは、『空堀めぐり:今しか見られない ! 改修中&ホッと一息書肆喫茶ツアー』や 『住之江めぐり:明治時代の町家の見学と洋風長屋をめぐるツアー』など、さまざまな長屋を見て回りながら、長屋の良さやそこに住む人々の暮らしを感じていただけます。

感染症対策のため、事前予約制となっていますので。申し込みページ(こちらからアクセスできます)よりご登録いただければ参加可能です。

オープンナガヤ大阪2023

今年新たに取り組む「照明ワークショップ&路地ギャラリー」は、どのような取り組みですか?

ツアーと合わせて開催する、今年のもう一つのメインイベントが照明ワークショップです。

長屋はその建物の形態から、特徴的な路地空間を創出します。かつて 路地空間は生活の一部として様々な利用がされていましたが、近年は その路地空間は活用されずに放置されていることが多くなっています。照明を制作し、実際に路地を照らすことで、かつてあった路地の魅力を取り戻したいと考え、このイベントを開催することにしました。

照明の材料には長屋の廃材を利用することで、取り壊されてしまった 長屋や使われなくなった古材が再び “光” を浴びることになります。暗 くなった後、路地を暖かく照らす照明をぜひ見に来てください !

オープンナガヤ大阪

ぜひオンラインのプログラムについても教えてください。

現地でのオープンナガヤ大阪開催後、2022年11月12日(土)10:00 ~11月 20日(日) 21:00の期間限定で、オープンナガヤ大阪の活動記録と、大阪長屋の歴史を学ぶ事ができる資料を、オンライン上で公開します。

オープンナガヤ大阪2022の公式サイト、YouTubeチャンネル(アクセスはこちらからできます)どちらでも閲覧いただくことが可能です。

昨年実施した3D バーチャルツアーの様子も公開しますので、家に居ながらにして、さまざまな長屋空間を体験していただけます。

オープンナガヤ大阪は長屋の魅力を後世に継承すると理念を更新しつづけたい

大阪長屋

オープンナガヤ大阪2022の開催までもうすぐですね。今後、オープンナガヤ大阪でどのようなことを進めようとしているのか、教えてください。

長屋は魅力的な資産ですが、一般的には、その魅力ではなくマイナスイメージの方が優ってしまっているように感じます。だからこそ、このマイナスイメージをどう払拭してくのかを考える必要があると思います。

これまでは長屋の魅力を語る際には、好意的に捉えられやすいところについて発信してきましたが、今回のオープンナガヤ大阪2022では、すでにある魅力だけでなく、イメージの悪い路地の暗さを逆手にとった雰囲気づくりなど、長屋の良さを「作る」ことにもチャレンジしています。

このように、私たちオープンナガヤに関わる学生の理念「長屋の魅力を後世に継承する」をぶらさずに、長屋アーカイブ、大阪市立大学モデル、長屋コミュニティの構築、この3点を意識して活動を広げていきたいと考えています。

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