
町家や古民家をリノベーションすることは、新築住宅とは違った魅力があります。京都をはじめ、町家や古民家をリノベーションして活用する方が増えてきました。
しかし、町家・古民家は、現在の基準に照らし合わせると、耐震性や断熱性など、住宅としての機能を改善したいところも。特に初めての場合は、リノベーションの難しさやコストの高さが不安なこともあるかもしれません。
今回は、町家を購入してみたものの何から手をつけようと考えている、初めて町家・古民家のリノベーションを検討する人に向けて、ポイントをご紹介します。
町家・古民家リノベーションの流れ
町家や古民家のリノベーションについて掘り下げる前に、まずはどのような流れで進めていくと良いのか、全体像を把握しましょう。
・町家・古民家のリノベーションのスタンスを明確にする
・リノベーション業者を探す
・予算とスタンスをすり合わせる
前提としては上記の3つを意識しておくと良いと思います。ここまでできれば、リノベーション業者と具体的に進めていくだけです。
町家や古民家リノベーションでどんなことを実現したいのか。スタンスを明確にする。

町家や古民家リノベーションをして、その歴史や文化を感じながら暮らす、とても魅力的です。
検討を進める上で、このリノベーション生活をより良くするために、町家や古民家リノベーションでどんなことを実現したいのかを考えてみると、より期待に合った生活が送れるはずです。
では何を意識してリノベーションを検討すれば良いでしょうか?
「居住後の期待 × 機能の充実」がキーワードです。
各要素の中で必須で対応すべきところ、あると嬉しい要素を色分けしておくと、予算との擦り合わせの際に取捨選択しやすいので、ぜひ整理してみてください。
居住後の期待を考える
町家や古民家は以前のライフスタイルに合わせて作られた建築物です。
現在のライフスタイルに合いづらい部分がありますが、それをあえて楽しむこともできます。どこまで町家や古民家をリノベーションすることが、自身のライフスタイルに合っているでしょうか?
テレワークが一般化してきたので夫婦それぞれが快適にテレワークができる環境が欲しいと考える方や、2拠点生活をおくる中でよりリラックスした環境を求めているので無駄な動線が少ない方がいいなど、ライフスタイルに合わせて抜本的に用途をかえるのであれば「リノベーション」が良いでしょう。
今の町家や古民家のなかで少し使いづらいキッチンや、トイレ・お風呂など一部の機能だけを回収することで、期待が満たせるのであれば、「リフォーム」という選択肢もあります。「DIY」も考えられそうです。
また、町家や古民家ならではの魅力を最大限生かし、当時の趣を残したいのであれば、「改修」で対応することも可能です。
期待する機能を考える

居住後の期待について考えた後は、町家や古民家に居住する際によく語られる、機能性(快適性・耐久性)をどこまで望むかを考える必要があります。
快適性を考える上で、「居住後の期待」でも取り上げたライフスタイルにどこまで合わせるかは検討が必要です。たとえば、写真のようにキッチン・バスルーム・トイレなど、現代の生活スタイルに必要な機能を追加することもポイントです。また、防音性や断熱性・気密性をどこまで向上させるかも考慮すべき項目です。
耐久性については、耐震性・防火性など、防災面でどこまで機能を向上させるか考える必要があります。
スタンスが決まれば、リノベーション業者を探しましょう
「居住後の期待 × 機能の充実」について、自身が何を必要と考えているのかがまとまれば、業者を探しましょう。
町家や古民家リノベーションでどんなことを実現したいのかを考える上で、リノベーションではなく、リフォームや改修で対応することになった場合、設計事務所や建築会社ではなく、リフォーム業者や、改修であれば京都をはじめ全国で活躍する町家再生に長けた作事組などに依頼することが考えられます。
リノベーションを進める場合は、工務店に依頼する場合や、全国展開しているリノベーションを得意とするリノベ不動産の系列店、設計事務所などの選択肢があります。手間はかかりますが、それぞれに特徴があるので、気軽に相談してみることをお勧めします。
資金計画をきちんと立てる。予算とスタンスをすり合わせ

リノベーションの業者が決まれば、「居住後の期待 × 機能の充実」で考えた条件をもとに相談し、どのくらいの見積もりになるか明確にしましょう。
リノベーション費用は、建物の状態や機能の追加内容、施工業者によっても異なります。また、町家や古民家の場合、リノベーション前に修復が必要な箇所があることもあります。そのため、進める前にしっかりと見積もりを取り、必要な予算を計算しましょう。
町家や古民家リノベーションでは、自分好みにカスタマイズできることから理想が膨らみ工事費用が高くなってしまうことも。だからこそ、必要なこと、あったらいいことなどの優先順位をつけることはもちろん、予算計画をきちんと立てることが必要です。
予算を超えてしまった場合は、事前に考えた「必須で対応すべき」ところ、「あると嬉しい」要素の前者を優先して条件をすり合わせしてみてください。
町家や古民家リノベーションのメリットと注意点

条件が擦り合ったらリノベーション業者と二人三脚で進めていきましょう。
ここでは、町家や古民家リノベーションのメリットとデメリットについて、また注意しておくべきことについてご紹介しておきます。
リノベーションのメリット・デメリット
町家や古民家をリノベーションするメリットについては多くを触れる必要がないかと思います。
一方、デメリット(注意しておくべきこと)はいくつかあります。
注意点については次でもご紹介しますが、町家や古民家をリノベーションするには多くの労力と時間が必要であり、予算やプロジェクトの規模によっては高額な費用がかかることもあります。また、地域の法律や規制にも従わなければならず、それらに関する詳細な知識も重要です。住宅購入全般に言えることですが、維持費がかかることも考慮しておく必要があります。
ただし、これを補って余りあるほどの魅力が、町家・古民家リノベーションにはあると考えています。
町家や古民家リノベーションの前に知っておくべき基礎知識、法律、規制について

町家や古民家のプロたちと一緒にリノベーションするにしても、自身でDIYするにしても、リノベーションをする前に、地域の法律や規制、保全のための基準、そして建築基準法についての知識が必要です。
建物の構造、素材、歴史的な価値、そしてリノベーションの目的や希望するスタイルなども学んでおく必要があります。
地域の法律や規制を確認しましょう
町家や古民家をリノベーションする前には、地域の法律や規制を確認する必要があります。例えば、市町村の景観条例や土地利用計画、建築基準法など、地域によって異なる規制があります。
また、文化財指定されている場合は、指定文化財保存法に基づいた手続きが必要になることがあります。リノベーション前には、地域の規制を確認し、適切な手続きを行うようにしましょう。
保全のための基準をチェック
町家や古民家には、保全のために守らなければならない基準があります。例えば、建物の耐震性や断熱性を確保するための基準、木材の腐食や虫害対策、文化財保存のための措置などです。リノベーション前には、守らなければならない基準を把握し、適切なリノベーションを行うようにしましょう。
建築基準法についての知識も最低限は理解しておきたい
建築基準法は、住宅や建物の安全性や衛生面、環境面などを定めた法律です。
町家や古民家のリノベーションにおいても、建築基準法に則った安全性や衛生面、環境面に留意する必要があります。例えば、耐震性や断熱性、電気、ガス、水回りなどに関する基準は、しっかりと把握しておく必要があります。
古民家のリノベーションには、建築家、インテリアデザイナー、施工業者、そして地元の専門家など、様々なプロフェッショナルの協力が必要です。
成功した古民家リノベーションを実現するためには、参考情報や成功事例などを調査し、十分な準備をすることも重要です。